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『富美菊酒造』
【@富山 日本酒蔵&ワイナリー】
🍶『富美菊酒造』 2025年5月
銘柄「羽根屋」を醸す、富山市の蔵 1件目に訪問
1916年(大正5年)から続く蔵ですが、昭和41年に法人化して、富美菊酒造株式会社になりました。
3階建てだった古い建物を2年前に改装をはじめました。酒造りで使っていた滑車などはそのまま、当時の面影を残し建て替え、今年4月からはレセプションルームにしています。
既存の銘柄「富美菊」は、地元向けとして販売されています。羽根敬喜(けいき)氏が杜氏に就任してから20年続くブランドとなる、「羽根屋」特定名称酒を主軸にして、県内外や国外まで幅広く販売しています。「羽根屋」は総じてフルーティーな酒質に仕上げています。
通常、日本酒は秋から春までの製造ですが、富美菊酒造では2012年から年間を通して(四季醸造)酒造りが行われています。四季醸造は春先から米がなくなり夏の暑い季節にも造られるなど、その特殊な造りゆえ、旭酒造(銘柄:獺祭)の桜井会長から製法を教わったそうです。
四季に対応した設備もなく、石高は1400~1500石なので、毎月限定商品販売をしています。スタンダード銘柄『純米吟醸 煌火(きらび)』や『翼 純米吟醸』は華やかで外国の方に人気です。
富美菊酒造は酒米探求シリーズを展開しており、全国の酒米を使って醸しています。前回は「八反錦」だったそうで、面白い試みとして、これからも続けていくとのことでした。
季節酒は「しぼりたて」シリーズ、液体凍結機を使用した凍眠酒「羽根屋 純米吟醸 煌火 生原酒」などがあります。米を8%まで磨き、瞬間冷気によって生酒をマイナス30度に冷却。価格は26、000円。究極の搾りたて日本酒として帝国ホテルなどに卸しているそうです。 昔はモタつきのある飲みずらい日本酒が、最近はキレイな酒質になって思うような酒造りが出来るようになったとのことでした。
富美菊酒造は従業員30人(製造は季節労働者入れて12~15名)、年齢は20代が7人の若手が頑張っている蔵です。機械化が進む現代でも、人の手による感覚も大切にしています。精米は10㎏ごとに米を洗い、水温、水量、手触り、米の浸漬による模様の違いなどを、データを図って、それを積み重ね、平均を取っていて、基本的に誰でも出来るようにしているとのことでした。
麹室は2つあります。麹造りは、比較的長く時間をかけて「ヒネ麹」(しっとり系の麹)にします。夏は温度や湿度
が高く温度コントロールが大変とのことでした。労働環境改善のため麹造りは月~金曜の午前中で作業を終えます。
醪の上槽(絞り)する際の垂れ坪(酒をためる入れ物)は下から液体が溜まる仕組みで、窒素ガスを使用。タンクや瓶詰めも同様で、酸素に触れないように気を使い、フレッシュ感を保つ工夫をしていました。
テイスティングは羽根屋シリーズをいただきました。
ボトル左から
①「羽根屋 純吟 煌火(きらび) 」
すっきり、ドライな酒質、心地良い苦味が残る
②「羽根屋 純米大吟醸50 翼」
ほんのり華やかな香り、なめらかな口当たり、やや甘めの酒質
③「羽根屋 Classic 純米吟醸」
穀物系の穏やかな香り、なめらかな口当たり、甘苦い味わいでバランス良い
④「「羽根屋 特別純米酒 瓶燗火入れ」
低アルコール、旨味がじわり広がり、酸は強めの酒質
⑤「羽根屋 大吟醸」
アフターまで華やかさが残る、味わいはすっきり、心地良い苦味が残る。
2件目『株式会社 白岩』へつづく
報告 圓子